メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド社の特許「ステント用の放射線不透過性強化コバルト合金」(特開2018-16888)を読む

特許明細書

メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド社の特許「ステント用の放射線不透過性強化コバルト合金」(特開2018-16888)を読みました。

この特許は、埋め込み可能な医療器具(具体的にはステントの材料)において、一般的な材料の機械的特性を保持または改良しながら、強化された放射線不透過性を提供するための方法について記載されたものです。

ステントとは、人体の管状の部分(血管、気管、食道、十二指腸、大腸、胆道など)を管腔内部から広げる医療機器のことです。多くの場合は体に入れても害のない金属でできており、網目状の筒のような形をしています。


【背景技術】
ステントとは、放射状に収縮された形状から半径方向に拡張された形状に体腔中で展開される、典型的には中空で、一般的には円筒形の器具のことであり、これにより血管壁と接触し血管壁を支持することが可能になる。ステントは、可塑的に変形可能なため、バルーン上に載せられた圧縮または「クリンプ化」ステントを保有するバルーンカテーテルを用いることによって、血管形成術中に埋め込むことができる。バルーンが膨張されると半径方向に拡張して、ステントが体腔と接触せざるを得ないようにして、それにより、血管壁を支持する。展開は、ステントが経皮的に導入され、経腔的に運搬され、バルーンカテーテルにより所望の位置に配置されることにより行われる。
ステントは、材料のワイヤまたは細片から形成され管から切断されるか、あるいは材料のシートを切断し管様構造に巻かれることにより製造される。
新世代のステントは支柱寸法/厚みが薄くなるように設計されているが、同時に、ステントを経腔的に運搬する際にステントの位置を可視化するために用いる蛍光顕微鏡またはX線下での放射線密度または放射線不透過性が、支柱寸法/厚みが薄くなったために十分に得られないという問題がある。

【解決しようとする課題】
埋め込み可能な医療器具のために一般に用いられる材料の機械的特性(例えば、機械的強度、靭性、耐久性、柔軟性、送達可能性、最小反跳、延性および/または耐食性)を保持するかまたは改良しながら、強化された放射線不透過性を得られる埋め込み可能な医療器具、例えばステントのための材料を提供する。

【解決手段】
ステントは、少なくともコバルト基合金で構成される。コバルト基合金は、プラチナ(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)およびその組合せからなる群から選択される10~35重量%金属成員;16~21重量%クロム(Cr);9~12重量%モリブデン(Mo);0~25重量%ニッケル(Ni);および全量を100とする量のコバルト(Co)を含み得る。コバルト基合金は、中空ステントの薄い外部シェル、ステントのコア-シェル構造の内部コアおよび外部シェルの少なくとも一方、またはステントを形成するワイヤの一端を構成するために用いられ得る。

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