メドトロニック社の特許「経皮的心臓弁置換のための複数の支持アームを有する心臓弁プロテーゼ及び方法」(特開2021-90836)を読む

特許明細書

メドトロニック社の特許「経皮的心臓弁置換のための複数の支持アームを有する心臓弁プロテーゼ及び方法」(特開2021-90836)を読みました。

この特許は、僧帽弁などの天然心臓弁を経皮置換するための心臓弁プロテーゼ(経カテーテル心臓弁装置を対象)及び関連方法について記載されたものです。

心臓弁プロテーゼとは、人工心臓弁のことです。心臓の構造や心臓弁疾患(心臓弁膜症)について確認したうえ、本特許を読み進めました。

参照ページ:https://www.kango-roo.com/learning/7095/, https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/valvular-heart-disease/

【背景技術】
人間の心臓は、心周期中に身体を通って血液循環を提供する4つの室のある筋肉性器官である。また心臓を通って確実に一方向に血液が流れるようにするために、4つの弁をもつ。これらの弁は、心室の収縮及び弛緩によって引き起こされる血圧の変化に応答して開閉する弁尖を含む。弁尖は互いに離れて移動して開き、血液を弁の下流に流すことができ、接合して閉鎖し、上流様式でバックフロー又は逆流を防止する。

先天性、加齢性、薬物誘発性、又は場合によっては感染症によって引き起こされる可能性のある罹患又は損傷した弁は、弾力性及び効率を失い、拡大し、肥厚した心臓となり得る。心臓弁疾患の症状は、多くの場合、衰弱させ、かつ/ 又は生命を脅かすのに十分なほど深刻な場合がある。

人工心臓弁が、罹患した及び/ 又は損傷した心臓弁の修復及び置換に向けて開発されている。このような弁は、カテーテルベースのシステムを通して罹患した心臓弁の部位に経皮的に送達され、展開され得る。人工弁が送達カテーテルのシース構成部品内に収容され、患者の血管系を通って前進することができるように、薄型又は圧縮/ 収縮配置の状態にある間に送達され得る。一旦治療部位に位置付けられると、人工弁は、拡張されて、罹患心臓弁領域において組織と係合し、所定の位置に維持することができる。

【解決しようとする課題】
人工弁は、心臓弁の修復及び/ 又は置換を行うための低侵襲方法となるが、埋め込まれた人工弁と周辺組織との間の漏れ( 弁傍漏れ) を防止し、かつ心周期中に起こり得る人工弁の動き及び/ 又は移動を防止するための人工弁を提供するにあたっての課題は、依然として存在している。
更なる課題としては、天然解剖学的構造によって付与された歪み力に供されたとき及び心周期中に生じ得る様々な構成部品の早期破損に抵抗する人工弁を提供することである。僧帽弁の治療に関連する解剖学的課題としては、楕円形状又は腎臓の形状に適合するような人工弁を提供することが挙げられる。更に、腎臓形状の僧帽弁輪は、弁の外壁に沿ってのみ筋肉を有し、僧帽弁と大動脈弁とを分離する薄い血管壁のみを有する。この解剖学的筋肉の分布は、左心室収縮で経験する高圧と共に、僧帽弁プロテーゼにとって問題となり得る。

【解決手段】
課題を解決できるような心臓弁プロテーゼ及び関連方法を提供すること。僧帽弁などの天然心臓弁の経皮置換のための経カテーテル心臓弁装置を対象とする。具体的には、前記経カテーテル弁プロテーゼは、弁支持体と、それに連結された1つ以上の支持アームとを有するフレームを備え、1つ以上の支持アームは、弁プロテーゼが拡張形態にあるとき、弁支持体の第2の端から第1の端に向かって延在するように構成されている。拡張構成で展開されたとき、1つ以上の支持アームは天然心臓弁における組織と少なくとも部分的に係合する実質的にS字形状などの曲線形状を有する。

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